東海の地域防災を支える人たち|学ぶ場と、地域で生かす仕組みを読む
発行者:増田裕一 / 東海ストーリーズ
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この記事は、国や自治体などが公開している資料をもとにしたまとめです。取材記事ではありません。数字や出来事は、各資料に書かれている範囲で紹介しています。資料の情報は、各資料に記載された時点のものです。誤りに気づかれた場合は、お問い合わせからご連絡ください。
地域防災というと、備蓄や訓練の話が中心になりがちです。それを準備する人、学んだことを近所に伝える人、学校や企業と調整する人にも、日々の仕事があります。今回は愛知・岐阜・三重の公開情報から、その担い手を育て、活動へつなぐ仕組みを見ていきます。
災害が起きた際の個別の避難判断を示す記事ではありません。地域で防災を学んだり、運営に関わったりする入口を整理するものです。実際の災害情報や避難に関しては、お住まいの自治体などが発信する最新情報をご確認ください。
確認日は2026年10月24日です。過去の開催案内や組織の設立情報も参照していますが、現在の受講募集とは区別します。僕自身が各講座を受講した体験談ではなく、現場の担い手への取材も行っていません。
愛知:自助と共助を進める人を育てる
愛知県の2026年度「防災・減災カレッジ」の案内は、県民の防災意識を高め、自助と共助を推進する人材の育成を目的としています。あいち防災協働社会推進協議会と、あいち・なごや強靱化共創センターが開催する研修として掲載されています。
これは一つの講座名を紹介するだけでなく、地域で防災を進める人を学びの対象にしていることを示す資料です。講座のコース、対象者、実施日などは、それぞれの案内で確かめる必要があります。2026年4月の掲載ページだけで、現在も受付中だとは判断していません。
自助は自分の身を守る取り組み、共助は地域で助け合う取り組みとして、同県の開催目的に記されています。両方を進める人を育てるという位置づけを確認できますが、受講した人が地域で何を実現したかという効果の集計までは、今回確認していません。
ここからは解釈です。僕が考えたいのは、学んだ人が戻った後に、その内容を話せる相手がいるかという点です。知識を得ることと、地域で実際に準備を変えることの間には、相談や調整の仕事があります。研修が終わった日を、活動の完成とみなさない視点が必要に思えます。
たとえば、訓練で確かめたいことを一つ提案しても、会場や日時、参加者の事情を調整しなければ実施できません。これは特定の地域の実例ではありません。学びを地域の行動へつなぐ過程を考えるための一般例です。
岐阜:大学の知見と、自治体の実務を結ぶ
岐阜大学は、2015年4月の「清流の国ぎふ 防災・減災センター」開所の説明で、大学と岐阜県が共同して設置することを示しています。人材育成、市町村や企業への技術支援、調査研究などを担う組織として紹介されています。
ここで参照しているのは設立当時の資料です。現在の講座の日時や申込条件を示すものではありません。一方、岐阜県防災課の業務案内にも、同センターに関する人材育成や技術支援、調査研究が掲げられています。
大学の研究と県の災害対応の実務をつなぐという設計は、組織の役割を知る手がかりになります。ただし、大学と自治体が共同で設けたことだけで、各地域の課題が解消したと評価することはできません。具体的な活動の成果には、別の資料が必要です。
ここからは解釈です。地域の困りごとは、一つの専門分野だけでは整理できないことがありそうです。建物や道路の条件、暮らしている人の事情、情報の伝え方など、確かめたいことが異なるからです。専門家と地域の間に、質問を整理してつなぐ人がいる意味は大きいと思います。
僕なら「専門家に何を頼めばよいか分からない」という段階も、相談の対象になり得るかを聞きたいところです。調査が必要なのか、既存の資料で確認できるのか、地域の話し合いから始めるのか。最初の問いを一緒に整理する仕事も、防災を支える一部だと考えます。
三重:育成と活用を、同じ仕組みで扱う
三重県・三重大学のみえ防災・減災センターは、人材育成・活用、地域・企業支援、情報収集・啓発、調査・研究を柱にしています。公式の説明では、学んだ人のネットワークを強め、地域での活動への参画を促す方向が示されています。
同センターの人材育成の案内には、講座だけでなく、みえ防災人材バンクや、育成された人たちの交流組織への入口もあります。人材バンクは、登録者の紹介を依頼する手続を案内しています。登録や紹介が、依頼すれば無条件に成立するという意味ではありません。
三重防災塾の説明は、基礎と応用のコースを設け、地域で活動するための知識や、計画を立て運営する能力などを学ぶものとしています。現在の募集期間や履修の詳細は、最新の開催案内で確認する必要があります。
ここからは解釈です。「学ぶ」と「地域で生かす」が並んでいることが気になります。講座を修了した人数だけでなく、どんな相談を受け、どの場面で力を使えたかを聞くと、人材育成の先にある仕事が見えてきそうです。
ただし、学んだ人へ仕事を集中させることが、活用のすべてではないと思います。できる役割と時間を確かめ、他の人と分ける仕組みも必要です。専門性を持つ人が一人で全部を引き受ける前提にしないことが、継続を考える手がかりになります。
訓練を開くことと、地域の準備を変えること
ここからは解釈です。催しとして訓練を実施できたことは、大切な事実です。その上で、何を確かめるための訓練だったのか、分かったことが次の準備へ反映されたかも見たいと思います。参加人数だけでは、その違いまでは分かりません。
たとえば、集合場所の案内が伝わるかを確かめたいなら、迷った場所や説明が足りなかった箇所を記録する方法が考えられます。これは実際の避難行動の指示ではなく、平時の運営を振り返るための例です。地域の具体的な計画は、自治体等と確認する必要があります。
終わった後に変更を一つ決め、誰が対応するかを残す。それができれば、次の担当者は、前年と同じ作業を繰り返すだけでなく、何を改善したかを確かめられます。改善しなかった項目も、理由が残っていれば次の相談の材料になります。
反対に、一度の訓練でできなかったことを、そのまま個人の責任にしないようにしたいと思います。案内の仕方や役割の分け方、参加できる時間など、仕組みの側に見直す点があるかもしれません。今回の資料から、特定の地域の対応を評価しているわけではありません。
関わる人を増やすときに、役割を具体的にする
ここからは解釈です。防災に関心はあっても、どこまでの責任を求められるか分からないと、参加をためらう人もいるかもしれません。担い手を募るときは、必要な作業と時間、相談相手が具体的に示されると判断しやすくなると思います。
- 当日だけの役割と、事前準備が必要な役割を分ける。
- 一人で判断することと、担当者へ相談することを分ける。
- 初めて参加する人が、説明を受ける機会を用意する。
- 参加できなくなったときの連絡方法や引継ぎ先を決める。
たとえば、受付、掲示、会場の準備、記録など、同じ運営でも役割は異なります。防災の知識を学び続ける人と、催しの準備を手伝う人が、同じ関わり方である必要はありません。これは各地域の正式な役職や責任区分を示すものではなく、参加の入口を考える視点です。
また、高齢者や障害のある人、子育て中の人などを、支援される側だけと決めつけないことも大切です。本人が知っている不便や、参加しやすい条件を聞くことで、運営の見落としに気づく可能性があります。ただし、個別の事情を共有する範囲は、本人の意向に沿って慎重に考える必要があります。
防災活動のためだからといって、個人の情報を誰にでも伝えてよいわけではありません。必要な情報と、その扱い方は、地域の担当機関のルールに沿って確認したいところです。善意だけで運営を成立させようとせず、相談できる仕組みを持つことが重要だと思います。
平時の連絡を、次の担当者も使える形にする
ここからは解釈です。地域の準備では、担当者同士が顔見知りだから進む作業もあるかもしれません。その関係は大切ですが、担当が代わったときにも連絡できる窓口や手順を残しておくと、個人の記憶だけに頼らずに済みます。
たとえば会場の利用を相談するとき、いつ誰に確かめたか、何が決まり、何が未確認かを短く残す。これは一般的な運営例です。実際の防災計画や緊急時の連絡手順を、この記事で定めるものではありません。
記録を渡す際は、古い情報が残っていないかの確認も必要になります。前年の連絡先をそのまま配る前に、現在の担当先を確かめる。更新した日付が分かれば、次に見る人も、いつの情報かを判断できます。
個人の連絡先を扱う場合は、共有してよい相手や用途を確認することになります。便利だからと名簿を広く配るのではなく、担当機関のルールに従い、必要な情報が必要な人に届く形を考える。こうした地道な仕事も、地域活動を支える準備の一つです。更新を引き受ける人と、確認する時期まで決めておけば、記録があるだけで安心せず、使える状態かを振り返るきっかけになります。
学んだことを、次の人へ渡せる記録に
ここからは解釈です。地域の担い手を取材するなら、大きな災害への思いだけでなく、普段どのように連絡し、準備し、見直しているかを聞きたいと思います。引継ぎができる記録があれば、新しい人が関わる際の手がかりになります。
記録には、うまくできたことだけでなく、まだ決まっていないことも必要です。担当者が交代したとき、未確認の点が分からないままだと、決定済みだと思い込む可能性があります。実施したこと、決めたこと、次に相談することを区別して残す工夫が考えられます。
今回の3県の資料は、人を育てることと、知識を地域へつなぐことの両方を考える入口でした。どの県の仕組みが優れているかを比べた記事ではありません。自分の地域で何を相談できるかを知り、今ある活動と結びつけて考えるための情報です。
次の地域行事で、準備を担っている人に、どんな役割なら手伝えるかを聞いてみる。あるいは、自治体の研修案内を一つ読んでみる。日常の中に、自分に合う関わり方を探すところから始められると思います。
地域防災の学びや引継ぎの工夫について、取材のご相談はこちらからお寄せください。個別の危険度や効果を推測せず、確認できる仕組みと現場の言葉を記録します。