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店舗・商店街 / 公開情報まとめ

東海の商店街は、いまどう変わっているか|愛知・柳ケ瀬・伊勢の公開資料から

発行者: / 東海ストーリーズ

この記事は、国や自治体などが公開している資料をもとにしたまとめです。取材記事ではありません。数字や出来事は、各資料に書かれている範囲で紹介しています。資料の情報は、各資料に記載された時点のものです。誤りに気づかれた場合は、お問い合わせからご連絡ください。

商店街のこれからを考えるとき、イベントの日にどれだけ人が集まったかに目が向きます。でも、普段の買い物や、店主との短い会話まで含めて考えると、見たい景色は少し変わります。

今回は愛知県、岐阜市、伊勢市と、地域で事業を行う団体の公開情報を読み、空き店舗の活用、まちでの体験、日常のにぎわいを支える仕組みを整理しました。東海全体の商店街が同じ方向へ進んでいると断定する記事ではありません。それぞれの取り組みから、地域の店を続けるための手がかりを考えます。

確認日は2026年10月24日です。資料が対象とする年度や期間は本文中に記しました。現地で取材した記事ではなく、来場者や店主の気持ち、各店の売上を確認したものでもありません。

愛知:空き店舗を使うことと、担い手を育てること

愛知県の「商店街活性化モデル事例」には、2024年度の空き店舗活用の調査先として、新大門商店街、松應寺横丁、犬山下本町商店街、笠寺観音商店街、蒲郡商店街が掲載されています。地域別の資料を読む入口が用意されているので、自分の商店街に近い条件を探す手がかりになります。

同じページには、蒲郡商店街で実施した2025年度の商店街担い手育成事業の成果冊子もあります。空いている建物の活用と、その場所に関わる人の育成が、別の事業として紹介されています。掲載されていることだけをもって、各地区で同じ成果が出たとはいえません。

県の活性化施策の案内を見ると、支援する取り組みは販売促進に限られていません。子育てや買い物支援、防災・防犯、空き店舗の発生や増加を抑える取り組みも挙げられています。商店街を、地域の暮らしに関わる場所として位置づけています。

また、大学や専門学校などとの連携を進めるため、イベントの協働、商店街マップやウェブページの作成などのマッチング支援を案内しています。個店に専門家を派遣し、その店の要望に沿って助言する事業も掲載されています。以上は県が公表する支援の内容であり、すべての商店街が利用したという意味ではありません。

ここからは解釈です。僕が気になるのは、空いた場所の使い道と、そこに関わる人の役割を、一緒に考える必要がありそうだという点です。建物が使えるようになっても、誰が日々の運営をするのかが決まらなければ、続ける形は見えてきません。

たとえば新しく店を開きたい人がいたとして、物件情報だけでなく、ごみ出しの方法や近隣の営業時間を相談できる相手がいると、判断材料は増えます。これは資料に書かれた特定の店の実話ではなく、出店支援を考えるための一般例です。空き店舗の数とともに、相談できる相手がいるかも見たいところです。

岐阜・柳ケ瀬:まちの体験を、次の関わりへつなぐ

岐阜市が紹介する「柳ケ瀬日常ニナーレ」は、柳ケ瀬商店街とその周辺を舞台にした体験企画です。グルメ、ワークショップ、まち歩きなどから、参加する人が興味のあるプログラムを選ぶ形でした。

市の2026年8月4日更新のページには、2022年度から4年間の取り組みとして、実施プログラム211件、パートナー延べ189名、参加者延べ2,113人とあります。パートナーとは、体験プログラムを企画・実施する人です。「延べ」は重複を含む集計なので、189名全員が別の人、2,113人全員が初めて訪れた人という読み方はできません。

このページは4年間の取り組みを振り返る内容です。同じ企画が今後も同じ形で続くという開催案内としては扱いません。また、参加者数から、周辺店舗の売上や商店街全体の回復度合いを読み取ることもできません。

柳ケ瀬では、別の取り組みとして「サンデービルヂングマーケット」も行われています。運営者の公式サイトによると、2014年に始まったマーケットで、毎月第3日曜日の開催に加え、偶数月第1日曜日の企画も案内されています。訪問するときは、個別の開催情報を確認する必要があります。

ここからは解釈です。僕は、体験企画と定期市を読むとき、最初に訪れるきっかけと、その後にもう一度関わるきっかけを分けて考えたいと思います。体験に参加したことがある人なら、次に通りかかったときに、店の名前を思い出すこともあるかもしれません。ただし、今回の資料だけで、その再訪が実際に起きたとまではいえません。

イベント後に見るなら、参加人数に加えて、通常営業の案内が届いたか、問い合わせがあったか、といった記録が候補になります。数字を大きく見せるためでなく、次に何を改善するかを決めるための記録です。参加者に聞く場合も、答えやすい短い質問から始める方法が考えられます。

三重・伊勢:にぎわいを、日常の商業環境として考える

伊勢市の「商業魅力アップ支援事業補助金」は、市内の商業や商店街の振興を目的にした制度です。2026年4月1日更新の案内では、地域住民や観光客のニーズに応える環境整備や、新たなにぎわいづくりを対象にしています。

対象事業の例には、商店街の調査と計画づくり、個店の魅力の発信、地域住民と連携する取り組みが並びます。このうち「個性・魅力強化事業」では、一過性のイベントなどは除くと明記されています。制度全体でイベントが認められない、という意味ではなく、この区分の条件です。

案内図や看板、買い物が難しい人への宅配サービス、共有スペースのバリアフリー化、防災や見守りといった例も掲載されています。いずれも制度が示す対象例であり、伊勢の各商店街で実施済みだと紹介するものではありません。申請には審査があり、予算に達すると受付を終了するため、利用を検討する場合は市の最新案内を確かめてください。

ここからは解釈です。観光で訪れる人と、普段から近くで暮らす人では、店や通りに求めるものが違う場合があります。初めての人には道案内が、日常の買い物をする人には利用しやすい時間や移動のしやすさが、判断材料になるかもしれません。これは特定の利用者への聞き取り結果ではなく、運営を考えるための視点です。

僕は、集客の方法を決める前に、誰のどんな不便を減らしたいのかを言葉にすることから始めたいと思います。地域の暮らしと観光の両方を大切にするなら、同じ案内で両方に伝わるのか、それぞれ必要な情報が違うのかを確かめる余地があります。

伊勢の通行量資料が教えてくれる、数字の読み方

伊勢まちづくり株式会社は、来街者の動向を把握するため、機器を使った歩行者等の通行量調査を行い、資料を公開しています。同社の案内によると、事業実施期間は2022年4月から2026年9月までで、2026年10月以降の通行量は伊勢市のホームページで確認するよう案内しています。

調査地点は年度によって異なります。2026年度の4月から9月は、伊勢市駅前商店街、外宮参道、高柳商店街、新道商店街の4か所です。2024年度は5か所、2021年度から2023年度は9か所と記載されています。したがって、地点をそろえずに合計を比べると、人の動き以外の違いまで混ぜてしまいます。

公表ページには、機器の仕様上、数値が実際の通行量を保証するものではないという注意もあります。今回は月別資料の数値比較は行っていません。通行量が増えた、減ったという結論も出していません。

ここからは解釈です。通りを歩いた人の数は、店で買った人の数とは違います。同じように、イベントに参加した人の数と、その地域で暮らす人の利用しやすさも別のものです。何を知りたいのかを決めてから数字を選ぶと、資料を無理に結論へ結びつけずに済みます。

取り組みを比べる前に、確かめたいこと

ここからは解釈です。今回の資料を読むと、商店街を考える入口は一つではないと分かります。愛知では空き店舗や担い手、柳ケ瀬では体験への参加、伊勢では商業環境や人の動きが、それぞれ異なる資料で扱われていました。これらは東海3県を同じ条件で比較する調査ではありません。

もし地域で新しい取り組みを相談するなら、僕は次の三つを整理するところから始めます。

たとえば、初めて来た人が店の場所を見つけにくいなら、案内の改善が候補になります。出店したい人が条件を把握できないなら、物件情報や相談窓口の整理が先かもしれません。どちらも仮定の例で、今回紹介した商店街にその問題があると指摘するものではありません。

もう一つ確かめたいのは、続けるための負担です。準備や片づけ、連絡、会計を誰が担うのか。今回の資料だけでは、各現場の作業時間や収支までは分かりません。人が集まる場面だけで評価せず、その裏側で仕事を引き受ける人の話も聞く必要があります。

記録を取るときも、初めから項目を増やしすぎなくてよいと思います。たとえば案内図を変えるなら、変更した日と内容を残し、その前後で道を尋ねられる場面に変化があったかを振り返る。これは効果を保証する方法ではありませんが、何を試したかを次の担当者に伝える材料にはなります。

ただ、前後の変化がすべて案内図の効果とは限りません。天気、近隣の催し、店の営業日なども影響する可能性があります。記録を読む人が別の説明も考えられるように、その日の条件を添えておく。小さな工夫でも、結論を急がずに残すことが、地域の経験を次へ渡す助けになるのではないでしょうか。

商店街の変化は、同じ成功例をそのまま移せば起きるものとは限りません。建物の条件も、周囲の暮らしも、担い手も違います。公開資料を入口にして、自分の地域では何が合いそうか、現場の人と確かめていく。その順番を大切にしたいと思います。

次に商店街を歩くときは、にぎわいだけでなく、いつもの営業を支える案内や、小さな相談の窓口にも目を向けてみませんか。

地域で店を続ける工夫や、商店街を支える仕事について、取材のご相談はこちらからお寄せください。今回は公開資料の整理ですが、現場の言葉を聞くことで、資料だけでは分からない営みも記録していきたいと考えています。

出典

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